日清食品は2019年8月19日、主力カップ麺ブランド「カップヌードル」のうち、4月の発売直後に販売休止した「カップヌードル 味噌(みそ)」について、8月26日から販売を再開すると発表した。
ネットでは喜びに沸くカップヌードルファンの声が殺到するとともに、一方では過去の発売中止と復刻を繰り返すカップヌードルの新商品の経緯に対して「品薄商法では?」という声も入り混じっている。
では、実際に今までのカップヌードルの新商品の経緯はどうだったのか、あらためて検証してみたい。
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テレビドラマとの相乗効果での需要が爆裂した「味噌」
カップヌードル「味噌」(希望小売価格税別193円)は、今年2019年4月1日の発売後から評判を呼び、計画を大幅に上回る売り上げとなった。
今年の春の「カップヌードル」というよりは、即席ラーメン日清のブランドが、創業者の安藤百福(ももふく)夫妻をモデルにしたNHK連続テレビ小説「まんぷく」の放映の影響を受け、爆裂的に高まっていったのは一般消費者の多くが実感していたのではないだろうか。
現実的には、カップヌードルとは別に、日清の即席麺のリーダー的ブランドである「チキンラーメン」が売れに売れて、スーパーの棚が空っぽになるという現象が、多くの店舗で見受けられた。
そのタイミング合わせて発売されたカップヌードル「味噌」だが、テレビ小説の好調に合わせて、カップヌードル「全体の需要が爆発的に高まっていた」。
さらには、好調の新商品の「味噌」の生産を続けると、全体の供給に差し障るとして、4月11日に販売休止を発表していた。
そして、今、カップヌードル全体の生産スケジュールを見直し、安定供給のめどが立ったというこkとで、再度4ヵ月の間をおいて、再度発売という算段になった。
「品薄商法では?」ぬぐい切れない消費者の疑問を製造元に聞く
日清「謎肉祭」売れすぎ、3日で販売休止
日清食品のカップヌードルの新商品の一時休止は、今まで数度あり、近年では、2016年9月12日に販売した「カップヌードルビッグ『謎肉祭』肉盛りペッパーしょうゆ」が売れに売れすぎて店頭からなくなり、15日には「一時休止する」と発表したのが記憶に新しい。
日清食品HDとしては、発売したばかりだが想定を上回る売れ行きで、1か月分と見積もっていた在庫(出荷分)がわずか3日で底をついたというコメントであった。
その時のコメントによると「『謎肉祭』は通常のカップヌードルビッグの月間販売数量の1.5倍を用意していたが、それでも、結果的に見通しが甘かったことになりました」という説明だった。
その商品「『謎肉祭』肉盛りペッパーしょうゆ」同社は、カップヌードル誕生45周年を記念した商品であったために、何とか準備をし直し、1か月遅れの10月下旬に販売を再開した経緯となった。
近年の日清カップヌードルの販売休止商品は以下の通りである。
- 2010「カップヌードルごはん」
- 2014「トムヤムクンヌードル」
- 2016「カップヌードル謎肉祭」
- 2019「カップヌードル味噌」
カップヌードルは、販売戦略でも先駆しつづける
「品薄商法」といえば聞こえは良くないが、実は実際のところマーケティング、店頭販売においては、ごくごくあたりまえのメソッドであることは否めない。
「期間限定セール」「時限セール」「お一人様一品限り」これらの限定セールは商品者の購買意欲を書き立てるものだ。
また「閉店セール」という手法は最近は減ってきたが、同じ店舗で一年中「閉店セール」をやりながらも、一向に閉店しない靴屋や小物屋も、かつては多々あった。
また、新商品に限っては、特に意外性のある商品だと販売予想が立てにくい場合は、予め生産数量はやや少なめに用意することも、在庫をなるべく持ちたくないメーカーとしては致し方ないことであろう。
それにしても、毎年、奇抜な新商品を繰り出しながら即席めんの市場をリードしつづける日清食品の手堅い戦略は、新商品こそまた購買の意欲がそそられる。
新しもの好きの期待感をそそる意味では、日清カップヌードルの「味噌」の味わいを期待しつつ、次は「何味」が新商品が来るやら、またそわそわ期待感が増してくる。
「ラーメンなのにカップ入り」。そもそも和風のものをカップに入れて、お湯を注いで3分間。この食の新たなドラマを作り、世界中にカップ麺を伝播した日清カップヌードルだ。
カップヌードルの面白さの原点は、そんな不思議なスタイルに何でもあり、というところだろう。