吉本興業所属の漫才コンビ「スリムクラブ」の真栄田(まえだ)賢さん(43)と内間政成さん(43)が暴力団関係者の会合に出て営業をしていたとして、同社が2人を無期限の活動禁止処分にしていたことが、関係者への取材でわかった。いまだ終結の見通しが立ちそうにない、お笑いと「闇」の関係。お笑いを本気で好きだから、お笑いが存続するための見通しを検証してみる。
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宮迫の二の舞の危惧が早期のカミングアウトとなった
すでにお笑いタレントの「闇営業」に関しては、各メディアにて情報が豊富に流れている。発端は、雨上がり決死隊の宮迫博之らが2014年、カラテカの入江慎也の仲介で、詐欺グループの宴会に参加。事務所を通さずに金銭を受け取っていたとされる。
それを受けて吉本興業側では所属芸人11人に謹慎処分を下し、今現在もテレビ民放各局も対応に追われている。その流れで宮迫博之(49)がコンビ「雨上がり決死隊」として司会を務め、コンビ名の「アメ」がタイトルに入るテレビ朝日「アメトーーク!」は消滅の危機が浮上している。
スリムクラブも「反社会勢力とは知らなかった」
関係者によると、スリムクラブの2人は3年前、別の芸能事務所の芸人から「飲食店のオーナーの誕生会」と誘われて営業に行ったが、その時には吉本興業は通していなかった。結果として、実際は暴力団関係者の会合だったという。2人は、同社の聞き取りに「反社会勢力とは知らなかった」と説明している。
今回の事情が発覚しのは、雨上がり決死隊の宮迫博之ら所属芸人が振り込め詐欺グループの宴会に出席し金銭を受けとっていた問題を受け、吉本興行が所属タレントに対して聞き取り調査を実施していたためである。
まだまだ氷山の一角。「闇」の根は深いのではと憶測が飛び交う
今、お笑い界とメディア、そしてファンの中で最も深刻な問題となっているのは「信頼」であるのは明らかである。
吉本興行が謹慎処分にした11人の芸人の最も問題視されているのが、当初受け取っていない発言した「ギャラ」に関する発言である。各メディアからの追及により結局「嘘」ということが発覚したため、すべての帰結がその「虚偽性」に集約されてしまった。
「知らなかった」「ギャラはもらっていなかった」という発言は「過ち」であるが、「実はもらっていた」という事実はすべてが「虚偽」ということになってしまう。
例えばファンがファン心理として許してあげたいと思ってみたところで、一人の芸人に関係するのは、プロダクションのみならず、主にテレビ局であり、それを支えるスポンサー企業に帰結してしまう。「闇」を背負ったままの芸人の出演する番組を、信頼というブランドを背負ったスポンサー企業としては一切接触したくない、というのは一般常識である。
記憶にまだ新しいのが当時最も芸人出身のタレントの中で最も人気を誇っていた島田紳助が、暴力団関連との交際が発覚したことにより、実質芸能界から抹殺されてしまった件がある。
もとより昭和の時代から、お笑いを問わず、芸人、芸能人と「闇」との関係は取沙汰されてはいるが、時代は平成を越えて令和に入り、芸能界もSNSを中心としたバイラルメディアに監視されながら存続しなければらならいのは今後の必至であることは明らかである。
今後のお笑い界 芸人たちの動きはどうあるべきか
お笑い芸人は今、全国でどのくらいいるのか?近年のお笑いスクールへの入学生の人数を見ても、NSC(吉本総合芸能学院)は、毎年1000人以上。ワタナベコメディスクールは約300人、JCA(人力舎)は約100人、松竹芸能タレントスクールも約100人、ホリプロ笑売塾は約60人、東京アナウンス学院は約80人(2014年調べ)となっている。1年で1700人以上がお笑い養成所に入学しているわけである。
素人も含めてざっくりと毎年2000人がお笑いを志し、仮に5年はアルバイトや副業しながらでも継続するという試算をすると、日本全国に2万人のお笑い予備性がいるということになる。
そして現実に、彼らの中でどれくらいの人数が舞台やメディアに出て、どれくらいの人数が本業として食っていけているか、となるとはなはだ心細い人数しか出てこないのが現状である。
今後、確実に「闇」に関わる芸人がさらに発覚してゆくのは間違いないだろう。そしてお笑いが健全に日本の一つの「芸」「文化」として存続するには、浄化作業が必要であることも間違いない。
今後、お笑い界がより面白く、進化し続けるSNSを中心としたメディア社会で有効活用されるには、闇取引の必要のない芸人へのプロフェッショナル制度を考案してゆくことも必要と考えられる。