『我に撃つ用意あり』のサンドウィッチ

食べるブログ

30歳を迎える少し前、広告代理店で働いていた新宿でのこと。気持ちが沈み、どうにもならない時期に観たのが、原田芳雄主演の『我に撃つ用意あり』でした。原作の佐々木譲『真夜中の遠い彼方』といい、その映画タイトルといい、まさに胸を打たれるものでした。

逃亡中の少女がサンドイッチを、一口、一口味わう

物語は、逃亡中の少女メイリンを、全共闘上がりのバーのマスターが助ける話。そしてその日が、ちょうど店の閉店日。メイリンはサンドイッチを渡され、その食べるシーンが長く映されていました。そのサンドイッチを一口一口味わう様子には、ただの食事以上の「深い対話」とか「優しさ」があふれていて、なぜか涙が止まらなかった。人が何かを食べるシーンに、こんなに強い命のメッセージが宿るなんて、本当に監督の力量だと思いました。

食べ物に宿る「命のメッセージ」

監督の若松さんに、あのシーンの意図を直接聞いてみたかったものです。同じ居酒屋に通う常連だったと聞き、いつか尋ねてみようと思っていたのに、今となっては叶いません。もう一度、自分の足で立って進もうと、あのサンドイッチのシーンを胸に、食べ物の一つひとつに宿る「命のメッセージ」を何か形にして伝えていきたいと思っています。

「食べる」という行為の意味と大切さ

若い頃に観た映画とサンドウィッチのシーンが、ふと脳裏に蘇りました。あのシーンは「食べる」という行為の意味と、その大切さを静かに、でも深く教えてくれるものでした。食べ物が持つ温もりや、命の重みを改めて感じさせてくれる、心に残るひとコマでした。

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